「乾癬(かんせん)」 誤解を招きやすい皮膚病。絶対に伝染りません。

こんばんは。cotakaです。

 

今回は「乾癬(かんせん)」という皮膚の病気について書きたいと思います。

 

今まで書いたことがなかったのですが、僕はこの病気を発症して、かれこれ18年になります。

 

「乾癬」ってなに?

 

まず最初にこの記事を 読んでいる方に 質問です。「乾癬」って病気を知ってましたか?

 

おそらく医療関係の方か、身近に患者さんがいる方以外はほとんど知らないと思います。

 

実際、僕が乾癬のことを話して知っていた方は医療関係の方と、自分も同じ病気の方だけでした。

 

乾癬にはいくつかのタイプがあるのですが、一番多い症状は皮膚の一部が硬くなって、カサブタのようにポロポロと剥がれ落ちるというものです。

 

症状が出やすい場所は、肘や膝など擦れやすいところ、髪の生え際や頭皮が多いようです。

 

また、時には痒みを伴うこともあります。本当は掻いてはいけないのですが、それを承知で掻きむしって血だらけになることもあります。

 

(もうちょっと詳しい説明がほしい方はこちらをどうぞ。)

 

 

なんで皮膚の一部が硬くなってしまうのか?

それは皮膚のターンオーバー(古い皮膚が新しい皮膚に置き換わること)の周期が通常の10倍も早くなってしまうからです。

 

では、なんでそんなに早くなってしまうのか?

 

どうやら自己免疫(本来自分を守ってくれるはずの免疫)が、この症状に関係しているらしいということはわかっています。

 

もともと乾癬になりやすい体質というものがあり、そこにストレスが加わったりすると、ある日突然発症するらしいです。

 

実際に僕が発症したのも、大学生の時、卒論や試験が重なった時期でした。

 

ですが、正直なところ現在の医学ではまだ原因が解明されていないのです。

 

原因が解明されていないのですから、当然症状を和らげる方法はあっても、乾癬を「治す」方法はまだありません。

 

症状がいつまで続くのかも誰にもわかりません。

 

なので乾癬は国から「難病指定」をうけています。

 

統計上は男性の30代、女性の10代もしくは50代での発症が多く、日本人の1000人に1人、患者さんがいるようです。

 

これを多いと思うか、少ないと思うか難しいところですが、僕は病院以外では、過去におひとりだけ患者さんにお会いしたことがあります。

 

1000人に1人患者さんがいるはずなのに、僕はなぜ1人しか患者さんにしかあったことがないのでしょう?

 

それはたぶん、自分がこの病気であることを隠している方が多いからだと僕は思います。

 

 

乾癬が症状以上につらいわけ

難病指定でもある乾癬であることを、なぜ患者さんは隠すのでしょう?

 

それは僕が最初に乾癬を知っていますか?ときいたように、乾癬という病気自体が、あまりに一般に知られていないからだと思います。

 

乾癬にかかると(人によって程度は違いますが)、皮膚のいたるところに白っぽいカサブタができます。

 

いまでこそ皮膚症状はだいぶ落ち着いていますが、僕も以前温泉などに行って、他のお客さんから露骨に嫌な顔をされたことがあります。

 

プールに行った時に、大人は上手に見て見ぬ振りをする中、小さなお子さんにジーッと症状の出ている場所を見つめられたこともあります。よほど珍しい見た目だったんだと思います。

 

頭皮に患部があった時は、肩に落ちた皮膚をフケだと思われるのが嫌で黒っぽい服は着られませんでした。

 

仕方なく黒っぽいスーツを切る時は1日に何度もトイレで肩をチェックしました。

 

それでも僕は自分が男性だから、まだ良かったと思います。

 

発症が多いとされる10代の女性が同じ立場だったらどれだけ辛いだろうと思います。

 

今でもたまに、僕の皮膚症状を見て「それ、どうしたの?」と訊かれることがあります。

 

初めは乾癬の説明を一生懸命していました。

 

でも「感染?」と勘違いされたり、説明がわからないときに「なにか得体の知れない嫌なもの」として扱われることに次第に疲れていきました。

 

「それはなに?」と訊かれることは僕を傷つけません。答えたあとの反応に僕は傷ついたのです。

 

ある時から僕は質問に対して「アトピーだよ」と答えることにしました。

 

訊いてきた人にも、本当にアトピーで苦しんでいる人にも申し訳ないことです。

 

でも、この答えが一番「あなたに危害を与えるものではありません」と伝えることができるから仕方なくそう答えていました。

 

大切なことなので、もう一度言いますが、乾癬は自己免疫疾患なので、絶対に人には伝染りません。

 

誰にも被害は与えないのに、他者からの非難の眼を気にして、患者は病気を隠したくなるのです。

 

そしてその気持ちを少しでも癒したい、なんとかしたいと思って、「乾癬患者の会」を創って寄り添いあう方たちがいるのです。

 

 

僕の乾癬の症状

僕が乾癬だと診断されてから5年くらい経ったある朝、急に足の裏が痛くなりました。立っているのも辛いくらいでした。

 

すぐに外科の病院を受診してレントゲンを撮ったりしても骨に異常はありません。

 

その時のお医者さんは僕の足の裏にあった針先くらい小さな点をみて、「知らないうちに尖ったものを踏んだんでしょう」と言いました。

 

でも、僕は内心「絶対違う」と思っていました。

 

そんな僕の気持ちに答えるかのように、足の裏の痛みは日に日に増していきました。

 

ところが、ある朝起きてみると、その痛みが無くなっていました。

 

でも、「その代わり」というように、反対の足や、手の指や、肩が日替わりで痛み出しました。

 

両足に痛みが出たときは本当に歩くのが辛かったです。

 

痛みの正体は皮膚科の再診の時に判明しました。

 

僕の乾癬は、最も患者数が多く、皮膚が主な症状の尋常性(じんじょうせい)乾癬ではなく、関節に炎症や痛みを起こす「関節症性乾癬」だったのです。

 

関節症性乾癬は全乾癬症患者のうち、およそ10%。

 

つまり僕は、日本人の1万人のうちの1人に選ばれてしまったわけです。

 

この関節症性乾癬は、自己免疫疾患で関節の痛みが出る点では、リウマチに似ていると言えます。

 

実際にリウマチに使う薬を使うことがありました。

 

その他、皮膚のために塗り薬や紫外線療法(医療用日焼けマシンみたいなものです)、免疫抑制剤の内服など様々な治療をしました。

 

それでも僕の痛みは止まることはなく、主治医の先生から「このままでは炎症で骨が変形してしまうかもしれないよ」と言われてしまいました。

 

そうして、僕はそれまで関節の痛みに効くと知りながらも避けていた、生物学的製剤「レミケード」の投与することを決めました。

 

最初に痛みを感じてから2年が経っていました。

 

 

関節症性乾癬治療のつらいところ

結論から言えば、痛みに耐えながら紹介先の大病院に行き、レミケードを点滴で投与したその時から、体の痛みは消えました。

 

その後も今日までの間、およそ5年。

 

住む場所が変わっても常に2ヶ月に1回のレミケード点滴を続けていて、痛みを感じることは初投与の日以降一度もありません。

 

いつか効かなくなる可能性はあっても、抗がん剤投与の方々と同じ部屋で半日かけて点滴をすることで、一番つらい痛みからは解放された毎日を送っています。

 

ではなぜ、そこまで効果があるレミケードを2年もの間痛みに耐えながら、僕は拒んでいたのか?

 

答えは単純。レミケードがとても高価な薬だからです。

 

健康保険は使えますが、保険を使っても、1回の点滴でかかる費用はおよそ15万円。

 

もちろんその金額を支払い続けることなんてできないので、高額医療費限度額申請証というものを発行してもらってなんとか続けています。

 

それでもおよそ4万5千円(最初の3回までは8万8千円)かかりますが、治療をやめることは痛みが怖くてできません。

 

いくら高額とはいえ、薬が効いて普通の生活を送れることは、とても恵まれたことなんだと思っています。

 

 

まとめ

後半は同じ病気の患者さんに向けて、使える薬や費用を伝えたくて書きました。

 

でも、一番伝えたかったのは「乾癬」という病気を知らなかった人たちに向けた前半部分です。

 

知らなかったことはもちろん罪ではありません。僕も自分がならなかったら、きっと知らなかったでしょう。

 

ただ、この記事を読んだ方が「乾癬」という病気があって、それは絶対に伝染らないことを知ってもらうこと。

 

そして、そのことによって1人でも多くの乾癬の患者さんが、偏見の目で見られなくなることを願ってこの記事を書きました。

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cotaka

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生まれてから20年は千葉、その次の20年は札幌に住んでいました。そして2年前からは埼玉に。 読書が子どもの頃からとても好きで、本を読めない時間が続くとちょっとそわそわします。 他には、星野源さんの創り出すもの、満島ひかりさんや高橋一生さんの演技、美味しいものとコーヒーが大好きです。詳しいプロフィールはこちら

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