お客様

こんばんは。cotakaです。

今回の内容は、賛否両論あると思いますが、いつものごとく、そんなに読んでる人いないよね精神で、好き勝手に考えていることを書こうと思います。

以前も何度か実家がレストランだったと書きましたが、僕の実家は人口50万人ほどの東京近郊都市でイタリアンレストランを35年続けてました。

今はもう店を閉じましたが、父がずっとシェフをやってまして、母はホール担当。バイトを雇う事はあったにせよ、50人くらい入るお店を切り盛りしていたのですから、大人になった今では、さぞ忙しかったのだろうと想像できます。

その後、高校時代にバイトで店を手伝っていた僕の弟が、音楽スタジオのエンジニアとして仕事をしていたにも関わらず、20歳から突然コックに転身、イタリアで修行して帰国した後、少しお店を手伝っていたこともありますが、基本的に両親のこのフォーメーションで35年。大学まで出していただいた僕は感謝の言葉しかありません。

それで僕たち兄弟は、(隣に祖父母が住んでいたものの)両親がお店で共働きなので、僕が10歳の時から、大学進学で実家を出るまでの10年間(20歳で大学入学?に関しては、そっとして置いてあげましょう。僕が入るよーと言っても、大学さんがいらないよーと言っていただけのことです)、夜は3歳下の弟と2人だけで過ごしていました。

幸い2人ともグレたりすることもなく、基本的には仲がいいので、ケンカする時ははテレビのチャンネル争いくらいでした(ちなみに僕が弟と最後に本気でケンカをしたのは、僕が20歳の頃、進学のため北海道に引っ越す直前でした。ケンカの理由はチャンネル争い。小学生の頃から1ミリも成長してない。)

で、このような幼少期の経験は僕の人格形成というか、ビリーフにどう関わっているのか、個人的にはとっても興味があるのですが、それはまた別の機会に。

 

それでですね、うちの両親というのがまた真面目な人たちで、特に父親(実は祖父も)。

まったく仕事に手を抜かない、っていうか抜けない性格。料理に使う各種ソースも、ドレッシングも全部手づくり。それぞれ作るのに1週間くらいかかるのに。

しかもですよ、料理自体は調理学校なんかに行かず、独学で学んだり、開店当初雇っていたコックさんのやることを見て覚えた、ってんだから、なんだこの人はですよ。

後日、都内の他のレストランで働いていた弟が、父の仕事量を職場の先輩に言ったところ、全部自分でやるなんてありえないって言われたらしいです。まあ普通、洋食の世界って分業制が多いですからね。

そんな父でしたが仕事の鬼というわけでは決してなく、僕たち兄弟と仕事が休みの日はよく遊んでくれてましたから、たまにしか子どもの相手をしてない僕はもう頭があがりません。

さて!まさかとはお思いでしょうが、ここまでが前置きです。

本題に入りますよ。ついてきてくださいね。

 

普段優しかった両親が、僕たち兄弟に厳しく言っていたことがあります。

それは挨拶と、言葉遣い。まあ、挨拶はよくありますけど、今回大事なのは言葉遣いの方。

両親への敬語とかじゃないですよ。それは今でもなあなあです。すいません。

お店のお客さんに対しての言葉遣いです。しかも店ではなく、実家で話してるのに。

休みの日に家族で雑談なんかしていてですね、僕や弟が「客」とかいうと、すかさず「お客さんと言いなさい」と注意されました。「子供心に、いないんだからいいじゃん。」と思っていましたが、これだけは非常に厳しかったんです。

で、僕がなんでこんな昔話をしているかっていうと、最近気になってることがあるから。簡単に言うと、「お客さんに対してお店が過剰に持ち上げすぎじゃないですか?」と思うからです。「お客様、お客様って」

はい、ここで「なんでダメなんだ!実際お客様なんだからいいじゃねえか!自分ちが店やってたからって調子に乗るなよ」と思った方、あなたの言い分、とてもよくわかります。そうです。確かにお客様です。

でも、ここが肝心なのですが、来ていただいた、お金を払っていただいた顧客に対しての敬意はあるのが当然。僕の拙いブログを読んでいただいている読者の方にも、僕は敬意を払って「ありがとうございます。」と思ってます。

ただ、このお客様と過剰に持ち上げることがマニュアル化していませんか?と思うのです。そして、お客様も自分で「お客様」であることをアピールしてやいませんか?と思うのです。本来「お客様」という言葉はお店側が使う言葉です。

なんで、こんなことを書いているかというと、

自称「お客様」が、店員さんという「人」に対して、それはないだろうという行動をしたというニュースを最近何度か聞いたこと、

あともう一つ、こっちが大きいのですが、

昨日、僕がある店員さんに、ものすごい笑顔と丁寧さで「お客様。」と言われたからです。その「お客様」という言葉にはまったく心がありませんでした。あそこまで心がないとさすがに気づきます。

怒りなんてわきません。ただ、「そんなに無理しなくていいよ、大丈夫?」と思いました。

で、うちの両親の話に戻るのですが、両親はお客様とは言っていなかった。ただ、心を込めてお客さんと言っていました。そして、よく来てくださっていたお客さんも自称「お客様」ではなかった。

それはとても心地よい空間で、子どもだった自分もなんとなく気持ちよく感じていました。言語化できるようになったのは大人になってからですが。

 

あの頃のような心地よい空間がもっと増えれば、世の中こんなに疲弊しないのになぁ。と僕は思うのです。

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cotaka

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生まれてから20年は千葉、その次の20年は札幌に住んでいました。そして2年前からは埼玉に。 読書が子どもの頃からとても好きで、本を読めない時間が続くとちょっとそわそわします。 他には、星野源さんの創り出すもの、満島ひかりさんや高橋一生さんの演技、美味しいものとコーヒーが大好きです。詳しいプロフィールはこちら

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