年老いて

こんばんは。cotakaです。

前回の更新で最後に

『若くしてもひとり、これを孤独と呼ばず。老いて尚ひとり、これを孤独という』

という言葉をご紹介しました。そして割と最近ようやく意味がわかったと。今日はその続きです。

この言葉は、残念ながらどこで読んだのか、誰かがおっしゃった言葉なのか、はっきりとは思い出せないのですが、数年以上前に聞いたはずなのに、僕の中にはっきりと残っていて、喉の奥の魚の骨のように、時々チクッと僕に刺激を与え続ける言葉でした。

それなのに、この言葉の意味がよくわからなかったんです。「ひとり」と「孤独」。何が違うのかと。どっちもひとりぼっちじゃないかと。

「ひとりというのはほら、友達とかいるけど、たまたまその時ひとりでいたってことで、孤独ってのは友達とか知り合いが全然いないひとのことだよ」

以前の僕はそう解釈していました。もしかしたら今これを読んでいるあなたも、僕と同じような解釈をするかもしれません。

でもですよ。それだと若い時と老いた時の違いが説明できないんです。若くても老いていても同じ解釈がなりたってしまう。ひとりぼっちはひとりぼっち。歳は関係ないみたいですもんね。

んでもって、数年このことは忘れていたわけです。なんとなく分からないところは曖昧にしておいて、全体としてはなんとなくわかったような気になって。

だけど時々チクッと来てたわけです。どんなタイミングかはよくわからないけど、急に思い出して。

それから数年が経ち、就職して、結婚して、子どもも2人いる今の僕が出来上がって、僕の家庭というものもできました。

そして今回同様、たまたま「孤独」ってなあに?とか考えている中で、「あれっ?」と思ったのです。「今の僕がもしひとりになったら、孤独という感じがするぞ。」と。

若い時にひとりでいる時には感じられなかった「孤独」という感覚を、確かに感じられるようになっていたのです。

で、そこでまた考えたわけです。この違いはなんだと。もちろん年数を重ねて、自分が大人になった、というか歳をとった。それは事実です。あとの変化は、就職したこと、家族ができたことです。

 

「そうかぁ。」と穏やかに理解する瞬間が来ました。

正解かどうかなんて確かめようがないけど、どうでもいい感じでした。「腑に落ちた」とでもいうのでしょうか。

この文章のなかの「ひとり」は自分のことを表しているのではなくて、自分のことを「想ってくれる人」の数のことなんだと思います。

 

今、家族の誰も僕のことを想ってくれなくなったとしたら、感じる感情は「孤独」だということです。

若い時にひとりでいても、「自分のことを想ってくれている人」はいると思います。絶対ではないけど、まだまだ人生先は長い。チャンスは無数です。

ただ、老いた時には、若い時の自分のことを知り、今も想ってくれている人の数は間違いなく減っています。だって、身も蓋もなく言えば寿命がありますから。下手をすれば自分は仲間のうちの最後のひとりかもしれません。

今、家族がいるから安心とも言えません。老いた時に自分のことを想ってくれている保障など、どこにもないからです。そして想うというのは良い感情ばかりとも限りません。「憎しみ」などネガティブな感情も想っていることに違いはありません。年老いてまで大変だなぁとは思いますが、その人は孤独ではないです。

「じゃ、じゃ、じゃ、じゃあさ、老後に結婚もしてなくて、友達もいなくて、孤独死まっしぐらみたいな私は孤独だってわけ?」と訊きたくなる人もいるかもしれません。いますよね。孤独死のニュースよく聞くもんね。でも、まだ大丈夫かもしれませんよ。

『若くしてもひとり、これを孤独と呼ばず。老いて尚ひとり、これを孤独という』

この文章の「ひとり」というのは「自分を想ってくれるひとのこと」だといいましたが、言葉足らずな点はもう一つあります。年老いた時、自分のことを想う人がいないことを孤独と言っているのですが、「想う人は他人でなくてはいけないとも言っていない」ことです。

自分のことを「想ってくれるひと」は自分自身でもいいんです。そして、他人だけでなく、自分自身も自分のことを想わなくなったとき、「本当の孤独」がやってくるのだと思います。

 

僕は今年で42歳を迎えます。

何年後を「年老いて」というかまだわかりませんが、「本当の孤独」はいやだなぁ。寂しいじゃん。

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cotaka

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生まれてから20年は千葉、その次の20年は札幌に住んでいました。そして2年前からは埼玉に。 読書が子どもの頃からとても好きで、本を読めない時間が続くとちょっとそわそわします。 他には、星野源さんの創り出すもの、満島ひかりさんや高橋一生さんの演技、美味しいものとコーヒーが大好きです。詳しいプロフィールはこちら

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