ヘタウマな愛  蛭子能収

こんばんは。cotakaです。

えーと、書評です。はい、そこ騒がなーい。stand on blogは書評ブログです。

今日ご紹介するのは『ヘタウマな愛  蛭子能収』です。

はい。みなさんご存知、あの蛭子さんが書いた本です。しかも、漫画じゃありません。

僕が小学生のころ、5歳年上の従兄弟が蛭子さんの漫画を持っていて、「ひるこ のうしゅう」と名前を間違えて憶えていた蛭子さんです。

みなさんご存知サラっと書きましたが、あの方、不思議じゃないですか?
僕が漫画を読んで(これがさっぱり意味がわからない)、しばらくしたらいつの間にかテレビに出るようになっていて、芸人さんでもない。文化人でもない。漫画家にしては絵が上手とはとても言えなくて、タレントと呼ぶのも違和感がある。しいてジャンル分けするなら「おじさん」。

でもその「おじさん」がただヘラヘラいつも笑ってるだけなのに、もう何十年もテレビに出続けている。本当に不思議。

僕が知っている情報といえば、無類のギャンブル好き(賭博容疑で逮捕され、暇だからラスベガスへ行った強者です)。(一応)本職は漫画家。息子さんが同じ顔。お父さんになってほしくないタレント第3位、人の葬式に出るとつい笑ってしまうから出られない、まあ、息子さんが似ているのはいいとしても、これといって好感度が上がるような情報はありません。

逆にいうとどこにでもいる「おじさん」だから、どこにいても違和感ないのかな。たまたまそれがテレビだっただけで。本人も前に「テレビが一番お金くれるから出てる」と身も蓋もないことを言っていました。

ただ、知ってる方もいると思いますが、蛭子さんは無類の愛妻家として有名でした。亡くなった直後は目に見えて元気がなかったし、しばらくたって、テレビの企画(この企画もどうかと思いますが)で亡くなった奥さんの写真の前に立たされて会話(奥さんの声はナレーター)した時には、「オヌシ(奥さんは蛭子さんをそう呼んでいました)」と呼びかけられて、本気で泣いていました。

今回の本は、蛭子さんの家族のお話。特に奥さんの貴美子さんとのエピソードが中心に書かれています。ある意味どこにでもいる「おじさん」の奥さんへの愛情が詰まった1冊です。

読んでみると今まで知らなかった蛭子さんのことがたくさん出てきます。そして、なぜ賭博で逮捕されたのにラスベガスへ行ったのか、なぜあれだけ好きだった奥さんが亡くなった後に見合いをしてまで再婚をしたのか。その理由もきちんと書かれています。

どこにでもいる「おじさん」ということは、僕もあなたも、蛭子さんとなんら変わらないということです。

人はいずれ亡くなってしまうけど、少なくとも僕には愛情を注ぐ対象がまだ生きてくれている。当たり前だと思っている毎日がいかに特別なものなのか、蛭子さんに教えてもらいました。

蛭子さんはこの世では再婚をしましたが、貴美子さんのことを今でも愛しているようです。自分が死んだら向こうで貴美子さんと会うつもりでいるからです。

「時間にいやされる悲しみがある。時間に深まる思い出もある」

作中 で家族との写真とともに添えられていた言葉です。

ヘタウマな愛  蛭子能収

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cotaka

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生まれてから20年は千葉、その次の20年は札幌に住んでいました。そして2年前からは埼玉に。 読書が子どもの頃からとても好きで、本を読めない時間が続くとちょっとそわそわします。 他には、星野源さんの創り出すもの、満島ひかりさんや高橋一生さんの演技、美味しいものとコーヒーが大好きです。詳しいプロフィールはこちら

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